IMG_0104


私が扱うIT分野の英語原文にはかなりの頻度で略語が出てきます。

そして、大まかに分けて①原文中に略語しか出てこない場合と、②初出時には正式名称でそれ以降は略語になる場合の2パターンあります。

①原文中に略語しか出てこない場合

その略語が何を意味するかわからないと正確な翻訳は無理なので、用語集に載っていない場合は、(A)クライアント(お客様)サイトでサイト内検索をかけるか、(B)ネットで検索します。(A)か(B)、どちらを先に行うかは文脈でだいたい目星をつけています。

(A)クライアント・サイトでサイト内検索をかける場合

たいていは社内の役職名や製品名の略称だったりします。ただ、社内で複数の異なる名称に同じ略称を使うというトラップもちょいちょいあるので、注意が必要です。最初に見つけた正式名称とおぼしきものが、翻訳対象文の文脈に合うかどうか確認しなければなりません。

※ただ、略語しか出てこない文書は、たいてい社内文書や協力会社と共有する準社内文書だったりするので、意味を理解するだけで訳文でも略語のまま使うことが多いです。

(B)ネットで検索する場合

原文中に略語しか出てこない場合はたいていメジャーな団体や機関、業界標準、規格類の略称だったりするので、比較的すぐに見つかります。

※対象読者やドキュメントの種類によって、メジャーな略称の場合は訳文でもそのまま使い、マイナーな場合は正式名称をカッコ書きで補うこともあります。


②初出時には正式名称でそれ以降は略語になる場合

基本は①と同じですが、私がいつも注意しているのは、「初出時には正式名称のみで、それ以降はいきなり略語になる場合」の処理です。

たとえば簡単な例でいうと、原文で初出時は「Information Technology」、それ以降は「IT」となっている場合、訳文で初出時は「情報技術」、それ以降は「IT」としてしまうと、訳文の読者には「情報技術 = IT」だとわからない可能性があるわけです。

そんな場合は、たとえ原文でそうなっていなくても初出時に「情報技術(IT)」とカッコ書きを補っています。

こういう②のケース、けっこうあります。しかも、2回目以降の略称がずいぶん後になって出てくるケースも...

「情報技術 = IT」ならピンとくる読者もいるかもしれませんが、機関名など正式名称が長く、日本語の定訳があるもの、たとえば「欧州ロケット開発機構」ならどうでしょう?後からだいぶ離れて「ELDO」と出てきても、(専門家ならいざ知らず)一般読者にはこの2つが同じものだとはわからないでしょう。そこで、初出箇所に戻って「欧州ロケット開発機構(ELDO)」とカッコ書きを足すわけです。

ちなみに、略語のほうが一般的にメジャーな場合は、原文でたとえば初出時に「Information Technology」となっていても「IT(情報技術)」と略語の方をカッコの外に出してしまうというように、ケースバイケースで処理しています。

何かの略語が出てきたときに上記のことを頭の片隅に置いておくと、より読者に寄り添った訳文になりますよね。こういうのは「原文の表記どおり」四角四面に対応するよりも、柔軟に対応すべき部分だと考えています。