めぐりめぐらせ ~ある翻訳者の関心事~

在宅翻訳歴9年目の「めぐり」と申します。分野は「IT/ビジネス」、言語は「英→日」です。 twitter: @meguri_megurase

カテゴリ: 勉強

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2017年新年のご挨拶でも書いたように、今年は読書の時間も意識的に増やしていきたいと考えています。この記事を書くにあたってどのカテゴリに入れようかと考えたのですが、「翻訳」でもないし、「趣味」だと積極性が感じられないので、自分への言い聞かせの意味も込めて「勉強」に分類します。

目的はアウトプット。ブログを始めた目的の1つでもありますが、日本語力の向上にアウトプットも不可欠だということで、たまにこうして読んだ本について書いていきたいと思います(たぶん)。

2016年末から2017年今日現在までに読んだ本は計7冊。今回は読み終えたばかりの『機械じかけの猫』について書きます。よろしければおつきあいください。

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『機械じかけの猫』(上・下、トリイ・ヘイデン著、入江真佐子訳)

この本は書店の平積みから取ったはずなので、2000年の初版当時に購入したことになる。かれこれ16年前。まだ独身だったころだ。実家にあった本はずいぶんと処分したけれど、なぜかこの本は残っていた。

頭の片隅にサイコ・ホラーやサイコ・サスペンス的な読後感が微かに残ってはいたものの、詳細はすでに忘却の彼方。この本のキーパーソンの1人である男の子に対するおおよその印象も、当時は「精神に異常をきたした子」にとどまっていたように思うが、一児の親となった今、それだけのフラットな心持ちではいられず、より感情移入して読むこととなり、もはやこの本は自分の中で「サイコ」という単純な括りではなくなった。また、私自身、初読時以降に自閉症の人と一時期過ごす機会があったが、共通点らしきものは浮かばないながらも、時折彼の姿が頭の中でオーバーラップしたりもした。

この本自体は過去・現在・異世界の3つの物語が交互に進行され、上巻では主人公格の1人である女性が主な語り手となって話の表面をなぞるように進むため、物語の輪郭がぼやけ、じれったさを感じたりもしたが(それも作者の計算の内だろう)、下巻へと進むにつれ「語り」色は薄れ、個々の物語が具体性を帯びて輪郭がより鮮明に描かれるようになり、それぞれが独立した読み物としての緊迫感を増していった。そして、最後にはすべての物語が集約され交差する。

ハッピーな読み物では決してない。どちらかといえば、冬の曇天あるいは嵐の前の暗雲を思わせるどんよりとした不穏な空気が終始つきまとうような内容なので、人によって向き不向き・好き嫌いもやむなしといったところだろう。構成がしっかりしていて読ませる文章なので、上下巻共に350頁近くあり、字も大きくはないが、気が付けば一気に読み終えていた。個人的に嫌いではない。

過去に一度読んだ本とあって、今回特に感じたのは「1冊の本が持つ意味は人生のステージによって変わる」ということ。つまり、いつ読んだかによって本の印象、もっと言えば感じられる設定やことばの重み、登場人物への感情移入や同情の念というのは大きく変わるのだなぁということ。そして、重ねた年のぶん、背景に対する理解度も増す(若い頃には想像力で補っていた部分を実感を持って理解できる)のだということ。

一生かかっても読み切れない数の本が巷に溢れ、子どもの頃ならいざしらず、一度読んだ本を読み返す時間的余裕もそうそうない中で、人生の別のステージに進んだときにあえてもう一度同じ本を手に取ってみることのおもしろさを発見したように思う。大なり小なりそこから学ぶこともきっとあるだろう。なによりも、以前とは違う感想を持って読み終えたとき、気付かない間に変化した自分の考え方やライフスタイルを見つめ直し、もしかすると忘れてしまっていた大切なことを思い出すきっかけになることもあるのかもしれない。今後も折に触れ昔読んだ本を手に取りたいと思った。

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TED Conferenceの動画を英語の勉強に利用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は、いろいろな著名人や才能豊かな人々の考えに触れることができるのでときどき見ています。

今回は、なかでも個人的にお勧めの動画をご紹介します。
この動画、私は10回以上、へたしたら20回以上見たかもしれません。それぐらい大好きです。

脳科学者であるJill Bolte Taylorさんのプレゼンテーション。

Jill Bolte Taylor's stroke of insight(邦題:ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作)
https://www.ted.com/talks/jill_bolte_taylor_s_powerful_stroke_of_insight?language=ja


内容そのものも興味深いのですが、彼女が話し始めるといつの間にかその世界に引き込まれています。20分弱という長い動画にもかかわらず、笑いあり、涙ありで最後まであっという間。
状況がありありと目に浮かび、「これぞプレゼンテーション力」といった感じです。

実際にジェスチャーやスライドを交えて説明しているのでわかりやすいというのもありますが、その語り口から彼女の思考がよどみなく伝わってくるんですよね。それが彼女の魅力的な人柄と相まって人を惹きつける。

翻訳でも、よく練り込まれた原文は、こんなふうに読む人に直接訴えかけるものであるはず。それを自分の訳文でも余すところなく再現したい、それが私の目標です。

TEDの動画は、再生すると右下に[Subtitles]、[Transcript]、[FullScreen]の3つのボタンが表示されます。
[Subtitles]をクリックすると字幕の言語を選択することができ、[Transcript]で言語を選択すると、下部に各言語の訳文が表示されます。勉強になりますね。

私は常々、自分のことを右脳人間だと思っていて、この動画でテイラーさんが言っていることにとても共感を覚えます。ぜひ、みなさんも一度ご覧ください。

以下、動画を見た私の感想。

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Just powerful and brilliant. I really love this energy and sensation... It touched a chord deep within me and my right brain or spirit is saying "YES".

ミシェル・オバマ米大統領夫人のスピーチを視聴して感じたことをtwitterでつぶやいたのですが、このビデオ自体が勉強になると思ったので、こちらの記事にまとめて載せます。



以下、ツイートした内容です。

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民主党大会でのミシェル・オバマのスピーチがすばらしかった、ということで遅ればせながら聞いてみた。確かに彼女自身の力強い、嘘偽りのないことばで語られた、感情に訴えかけるスピーチだったと思う。

何よりも、不安をあおって人々を味方につけようとするのではない、前向きなだれもが納得し得るメッセージだったのが印象的だ。

そして、アメリカの土壌、文化、歴史背景、人種差別をはじめとする現在進行形のさまざまな問題があってこそ生まれたものだろう(だからこそ、日本の政治家や現状を嘆きつつ、彼女を礼賛するのはナンセンスだと思う)。

私は常々、どんなに正当な意見を持っていても、相手を攻撃したり、ばかにしたり、レッテルを貼ったり、汚い言葉で罵ったり、自分と意見が違うからといっていい面を見ようとせず相手を全否定した時点で、その人は建設的なディスカッションをする気がないのだと感じる。

本当に自分の意見を聞いてほしいなら、まずは相手に最低限の敬意を示す、話はそこからだと思う。そうしなければ、いつまでたっても「お仲間」だけしか耳を傾けてはくれないだろう。ミシェルの姿勢からまず学ばなければならないのは、そういうところではないかな、と感じた。

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前向きなディスカッションはいいですね。次につながる。
私は正攻法の力を信じます。

何かあれば、拙ブログへもご意見いただけると嬉しいです。 (^^)

前回の投稿では、お勉強(記事の音読+入力)時に注目している点として以下を挙げました。

1. 見出しの付け方
2. 読点の位置
3. 発言の引用方法
4. 接続詞の使い方
5. 文末のさばき方

今回はそれぞれをもう少し掘り下げたいと思います。


1. 見出しの付け方

ニュース・リリースやブログ記事の翻訳をするときは、まず本文を訳してから見出しに取り掛かることが多いですが、なかなか「これ」という見出しが浮かびません。
特にニュース・リリースは、原文のタイトルも似たり寄ったりなことが多いので、直訳するとどこかで見た見出しばかりになってしまいます。
こうして記事の見出しに注目することで、簡潔で魅力的な見出しを悩まず付けられるようになりたいと思っています。


2. 読点の位置

日本語の記事を読点で区切って入力していくと、自分の感覚よりも実際に使われている読点の方が少ないように思います。普段の翻訳作業で読点の数や位置にもっと意識を向けないと...(どなたか、このあたりをわかりやすく解説した本をご存知でしょうか?)。


3. 発言の引用方法

ニュース・リリースやブログ記事を翻訳すると、必ず誰かの発言が引用されています。特に、ブログ記事では「~と述べています。」ばかりだと堅苦しく単調すぎるので、いつも工夫しようとするのですが、ここでも自分の語彙の乏しさに悲しくなります。


4. 接続詞の使い方

英語は日本語に比べて接続詞が少ないですよね。セグメント単位で訳していくと、通しで読んだときにどうしてもぶつ切りになってしまいます。そこで、接続詞を補ったり、2文を1文にまとめたり、1文を2文に分けたり、声に出して読んだときにひっかかるところ(息継ぎがうまくいかないとか、語感が悪いとか)があれば、単語や言い回しを変えてみたり...といったことを試行錯誤。
一次訳よりも推敲の方が時間がかかることは日常茶飯事です。案外、シンプルな文章の方が難しかったり...。
そんなわけで、接続詞の語彙を増やすというのも目標の1つです。


5. 文末のさばき方

よく翻訳を担当する某社のニュース・リリースは「です・ます調」です(自社の活動に関する発表なので当然ですが)。
ニュース・リリースに限らず、これまで担当した翻訳はすべて「です・ます調」(PPのプレゼンテーションを除く)だったので、「です・ます調」の記事もどんどん読んでいきたいと思っています。が、私自身は「である調」のお仕事もいつかしてみたいというあこがれがあるんですよね。

「です・ます調」だと、文末に「~します。」ばかりや「~です。」ばかりが並んでしまうと気持ち悪いのでなるべく連続しないように心がけているのですが、うまくいかなくて悩むこともしばしば(自分の表現の幅が狭いだけなんですが)。その点、「である調」の方が文末表現が豊かな気がします。

そういった違いにも注目しつつ、文末の表現の幅も広げていきたいと思っています。

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テクニカルな知識をもっと仕入れたいと思って始めた記事の音読+入力ですが、なんだか趣旨が変わってきているような...。まぁ、better than nothingでぼちぼちいきます。

先日宣言したお勉強の第2回目。

日経コンピュータのIT proの「シンプルジャパニーズで英語の苦手意識を克服」という記事。

ITエンジニアが日本語の文章を英訳する際のヒントが書かれている。
普段社内で使用されている「難しい日本語」を英訳する際に、まず「シンプルな日本語」に置き換えることが大切だ、と。

記事の内容自体は、英訳のお仕事をされている方なら自然と頭の中でこの作業をされているのではないだろうか。

これはITエンジニアに限ったことではない。ここでいう「難しい日本語」は、日本の特に企業のおじさまたちが好んで使う言い回しだと思う。「あるある」と思ってこの記事を読まれる方も少なくないのでは?

私は今、英訳はやらないが(「怖くてできない」と言った方がいいかも)、在宅翻訳を始める前の1年間、某メーカーの品質保証部で社内翻訳者として働いていた。

ある日、部長が書いた同社海外工場向けの通達かなにかを英訳していたときのこと、「各部門が有機的に連携して~」という文言が出てきた。

私:「部長、この場合の”有機的”って、具体的にどういう意味ですか?」
部長:「うーん、あらためて聞かれるとなんて言えばいいのかなぁ...」

そのときの部長の答えと、自分がどのように訳したかは忘れてしまったが、今なら「in a coordinated way」とでもするだろうか。

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この記事を読んで、こんなやりとりを懐かしく思い出しました。

昨日宣言したお勉強の第1回目。

方法は、記事を句読点の位置まで音読して記憶し、次にメモ帳に記憶した文章を(記事を見ないで)入力していく(以降、その繰り返し)というものです。なぜ、一旦記憶するかというと、最近記憶力が落ちていることに危機感を感じているのと、記事を音読しながら同時に入力すると、ながら作業になって結局頭に入ってこないような気がしたので。効果のほどはまだわかりませんが、記憶しようとする分だけ集中力が増すのでいいかなと思いました。

で、今回気になったのは、ascii.jpの「Office 365、Apache Kafka / DataFu、Voldemort - MSのLinkedIn買収は何を変えるか」という6/30の記事。

「ん?MSのLinkedIn買収に関するニュースはもっと前に見たぞ?」と思ったのですが、そのときは「ふーん」と思っただけでしっかり読んでなかったので。買収の発表は日本時間の6/14に行われていたようです(買収の手続きは年内に完了する予定らしい)。

このascii.jpの記事では、なぜMSはLinkedInを買収したのか、その狙いについて考察しています。
MSはこれまでの「PC中心」から「人中心」の考え方に舵を切った。今回の買収はその一環だろうとのこと。

もう少しちゃんと掘り下げたいところですが、ここでタイムアップ(仕事に戻ります)。
LinkedInについても要確認。

ちなみに、MSによる実際の発表記事はこちらのようです。↓
【原文】 「Microsoft to acquire LinkedIn
【翻訳文】 「マイクロソフト、LinkedIn を買収

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IT翻訳者と名乗りながら(いや、リアルな生活でそんなふうに名乗る機会はめったにないが)、テクニカルな部分はめっぽう弱い。なので、事前にあれこれ知識を仕入れておくといっても何から手を着けていいかわからず、それを言い訳に、これまで新規案件のたびに必死で関連技術を調べるという事後対応型でやってきた。

そろそろそんなことではいけないと思い、事前対応型にシフトしたいのだが、やはり何から手を着けたものやら...。というわけで、まずはその日の気になったIT関連の記事を音読しながら入力することから始めてみようと思う。時間があれば、記事の中で気になった用語をもう少し掘り下げることで、少しずつ関連知識も広げていきたい。

9年目にしてようやくこんなことから始めている自分が恥ずかしいが、never too lateでやってみようと思う。せっかくブログを始めたので、モチベーションを保つうえでも日々の記録を付けていきたい(慣れてきたら、関連する英語記事もセットでやりたいが、最初から欲張りすぎると3日坊主で終わりそうなので、まずは日本語の記事から)。

でも、まずは仕事を終わらせないと...


<7/1追記>

方法は、記事を句読点の位置まで音読して記憶し、次にメモ帳に記憶した文章を(記事を見ないで)入力していく(以降、その繰り返し)というものです。なぜ、一旦記憶するかというと、最近記憶力が落ちていることに危機感を感じているのと、記事を音読しながら同時に入力すると、ながら作業になって結局頭に入ってこないような気がしたので。効果のほどはまだわかりませんが、記憶しようとする分だけ集中力が増すのでいいかなと思いました。

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